八ヶ岳倶楽部の森

Forest

八ヶ岳倶楽部の森は、
30年以上かけて私たち家族や友人、スタッフたちで
一緒に手入れを続けてきた、皆の宝物の森です。

春は早春の山野草に心躍り、
夏は木洩れ陽のなか
爽やかな高原の風に吹かれて気持ちよく、
秋は鮮やかで美しい紅葉を堪能し、
冬は落葉した木々の間から
鳥たちが飛び回る様子を見てみたり。

一年を通して、
たくさんの素晴らしい自然を感じることができ、
訪れる人々の誰をも癒してくれる森を、
ぜひ散歩してみてください。

八ヶ岳倶楽部の森のリトリート

この森は、生きものに優しい森。
一歩踏み入れれば、太陽の光も、吹き抜ける風も、
すべてが包み込んでくれる癒しの森です。

ここを訪れたなら、日常の喧騒からしばし離れ、
ガイドの誘導で森に心を委ねてみませんか。
自分の心や体を緩めることで、
本来の自分の声も素直に聞こえてくるはず。

森の中での特別な癒しの時間を
是非お過ごしください。

森の動植物たち

早春

まだ寒いなかでも、鳥の鳴き方がさえずりに変わることで、春を感じて心が躍ります。2月半ば過ぎ、凍っていた土はほぐれ、微生物が活動し始め、硬かった冬芽が少しずつほぐれ始めます。福寿草が黄色い花を咲かせたりと、静かな林床が動き出します。3月後半には、八ヶ岳倶楽部では春を告げる象徴的な花の一つ、カタクリのピンク色の花が開き、スタッフ皆で本格的な春がやっと来たと嬉しい気分になります。カタクリの花は、早春の数週間しか咲かず、花が咲くまでに7年ほどかかる貴重な花なのです。ダンコウバイの木々は、もふもふした黄色い花をつけ、枯木立の森に明かりがポツポツと灯ったように見えます。鳥たちはカップルになり始めます。森の中からキツツキの仲間が、木に巣穴を開けるドラミングの音が聞こえます。木々も眠りから覚めたように、水を吸い上げ始めているのが分かります。お店の方も、本格的なオンシーズンに向かって準備を始めます。

芽吹き

5月、一斉に木々の葉や花が芽吹き、若葉の新緑が美しい季節です。春の野草も咲き始め、1日1日と変化する風景には目が離せません。林床では、マイズルソウやチゴユリが群生し、様々なツツジの花のリレーが始まります。鳥たちは、茂ってきた葉っぱで見えなくなっていきますが、毎年私たちが掛ける巣箱に巣作りし、ヒナにせっせと餌を運ぶ姿を見かけるようになります。キビタキ、オオルリ、カッコウ、そして、ホトトギスなどの夏鳥たちの声がし始め、晴れた日には、標高1000m以上で鳴くハルゼミも一斉に鳴き、森の活動的な季節がやってきます!

梅雨

森には霧が立ち込めることが多く、幻想的な風景をしばしば見ることができます。薄靄の中で浮かび上がる小道の明かりがぼんやりと灯るのを見ると、なにかほっとします。コアジサイが一斉に咲くと、そのパウダリーな香りが森に満ち、薄紫色のスケルトンの茎に光が透けて美しく、雨の森を散歩するのもとっても楽しいです。しっとりと雫に濡れた木々の新緑の色は、日に日に深い緑色へと変わっていきます。

晴れた日中はエゾセミたちの声が響き渡っています。ミヤマクワガタやアカアシクワガタ、アサギマダラ蝶や日本ミツバチたちなど、昆虫たちもよく見かけるようになり、夕方にはセミの羽化を見ることもしばしば。黄花のキレンゲショウマ、うつむいて咲く可憐なレンゲショウマ、うす紫色のギボウシの花など、夏の花たちが一斉に咲き、生き物たちが活発に生きているのを感じることが、心地いい季節です。晴れた日には、木洩れ陽が差しこむ風景が本当に美しく、森を渡る風は涼しく心地よく、訪れるお客様はテラス席でゆったりと過ごしています。でも8月中旬には、もう秋の風が吹きます。晩夏には、タマゴダケなどの可愛いキノコたちが顔を出します。朝晩肌寒くなり、落葉が始まる木もあり、こうして高原の夏はあっという間に終わっていきます。

空が高くなり、秋の虫が鳴き始めます。ツリバナの赤い実が弾け、ヤマボウシやアオハダの実なども赤く色づいて、鳥たちへ植物からのご馳走の季節です。いよいよこの森のフィナーレ、紅葉を迎えます。寒暖差と日照時間の多さにより、紅葉の好条件が揃っている八ヶ岳倶楽部では、赤や黄色のグラデーションが素晴らしく、大勢のお客様が紅葉目当てでいらっしゃいます。楓の澄んだ赤の美しさ。ダンコウバイやコアジサイの柔らかい黄色。その紅葉した葉がかかる白樺の真っ白な幹。日本の着物や帯の美しい色彩は、このような風景の中で生まれてきたのだと実感します。レストランテラス席から紅葉の木々の向こうに見える富士山も、くっきりと見える日が多くなってきます。

全ての葉が落ちて、静かな冬の森へ。冬が好きなスタッフも、実は多いのです。落葉した木々の間からは、奥秩父連山の山々が見えるようになります。薪ストーブに毎朝火を入れ、室内を暖めます。夕方にはシラカバの木々の幹に夕陽が当たり、薄桃色染まるマジックアワーがあったり、紅富士も見れたりして、そんな時は思わずスタッフも仕事を一時中断して、お客様と一緒にその美しさに見とれます。空気はキリッと澄んで、山々の風景や夜空の星もとても綺麗に見えるようになります。鳥たちにはひまわりの種の餌台が出されます。冬の渡り鳥も見かけることもありますが、留鳥のカラ類が多く食べにきます。時に早朝には、リスが餌台を占領して食事をしていることも!森では、レンジャクという美しい鳥が集団でヤドリギの実を食べにきているのに遭遇したりします。 雪は年々少なくなっているように感じますが、一旦降れば、木々の根元には白い雪、木々の梢には「八ヶ岳ブルー」と呼ばれるほどの澄み切った青い空が広がり、その美しいコントラストは冬の倶楽部の代表的な風景です。 元旦の朝は、毎年スタッフみんなで初日の出を見に行きます。マイナスの気温の中ですが、清々しい朝日を浴びて、元旦営業します。春に向かって少しずつ陽が伸びているのを感じ、木々の冬芽は分厚い外皮に包まれながら、 やがて訪れる春を待っています。