八ヶ岳倶楽部では5回目の夏の展示となる、大川みゆきさんの個展「今、愛を纏いて風を泳ぐ」を開催いたします。今回は、最新作のエッチング、ドローイング、水彩など、約50点の作品が会場を彩ります。
大川さんの作品の大きな特徴は、時間をかけて金属を腐食させて描く「腐食銅版画」です。インクが立体的に盛り上がるほど深く濃い線から、掠れて消え入りそうな淡い線まで、腐食が生み出す線の強弱は、まさに生命の移ろいを描き出します。植物が花開き、やがて枯れていく命の循環というテーマと、この技法が見事に調和し、画面全体に呼吸が感じられるような深みを生み出しているのです。
さらに大川さんは、版を摺る際に偶然生まれるインクの滲みやかすれさえも、作品の味わいとして取り入れています。モチーフから得たインスピレーションが言葉と寄り添い、唯一無二の世界観を創り上げています。
今回の展示では、銅版画のほかに鉛筆や水彩で描かれた作品もお目見えします。銅版画の力強い印象とはまた趣の異なる、優しく柔らかなタッチが魅力的です。こちらも、細部の描線一本一本にまでこだわり抜いた、緻密で繊細な作品ばかりです。
ぜひ会場で、大川みゆきさんが生み出す作品の、力強くも優しい生命の息吹に触れてみてください。
開催期間：2025年8月28日(木)～9月2日(火)
10:00～17:30 最終日16:30まで
お問い合わせはギャラリーまで TEL:0551-38-3395