工房藍の館、下村透さんが手がける藍染展が始まりました。
下村さんの藍は「天然灰汁醗酵建(てんねんあくはっこうだて)」本藍染。徳島県阿波で大切に育てられた阿波藍を、天然の素材と、自然の恵みである発酵の力だけで染め上げる、まさに日本の伝統が息づく逸品です。
今ではめったに見られなくなった「本藍染」は、発酵の進み具合や季節、その日の気温など、さまざまな要因で色合いが変化する「生き物のような染め物」。
手軽なインド藍や化学染料では決して味わえない、奥深く豊かな風合いが魅力です。水に溶けない藍だからこそ、同じ色合いを出すのは至難の業。下村さんは、理想の色を追い求め、染めるタイミングや回数を一つひとつ丁寧に判断し、心を込めて作品を作り上げています。
藍染には、美しい見た目だけでなく、実は暮らしに嬉しい秘密がたくさんあります。例えば、虫に食われにくかったり、汗の匂いを抑えてくれたりする効果も。高温多湿な日本で、昔から人々に愛されてきた理由がよくわかります。また、藍は光を反射する性質があるため、藍染のアイテムを身につけると、顔周りがパッと明るく、華やかな印象になるんですよ。下村さんの藍を羽織って出かければ、その心地よさと、身につける人の魅力を引き出す力に、きっと驚かされるはずです。
使い込むほどに変化していく藍の色は、まさに育てる喜びそのもの。年月を重ねるごとに少しずつ表情を変え、味わい深く優しい色へと変化していく過程は、特別な愛着が湧く瞬間です。
「日本の青」と称される、日本伝統の本当の藍の色をご覧いただける機会は、今や全国を探してもそう多くはありません。残念ながら、藍染の各工程を支える職人さんの数も減っています。何人もの職人さんの手を経て、長い時間をかけて大切に育てられた藍色の深みを、ぜひこの機会に心ゆくまでご堪能ください。
開催期間:2025年6月12日(木)~6月17日(火)
10:00~17:30 最終日16:30まで
お問い合わせはギャラリーまで TEL:0551-38-3395